ジオラマ
君が欲しかった。 そうすれば世界はいらなかった。 君がいなければよかった。 そうすれば世界はいつだって手に入った。 君が傍にいればいつだって世界が手に入っていた。 君が世界で世界が君だった。 閉じられた、まるで箱庭。 小さな小さな幻視画。 そんなささやかな願いすら叶いはしなかった
ただ呼んで欲しかった。 愚かではあったかもしれないけれど。 ただ名前を呼んで欲しかった。 それだけで全てがよくて。 名前を呼んでさえくれれば全てを許せたのに。 そんな気持ちは伝わらなかったけど
君を守りたいんだ。 それだけが真実。 それだけで全てがうまくいった。 それだけで世界はよかった。 間違っているのかもしれない。 歪んでいるのかもしれない。 いびつに捻じれた気持ちでも、ここが現実。 縋れない縋りたくない
愛されている。 愛されている。 けれど、そんな、こんな愛はいらない。 だけど、こんな、そんな、言葉は吐けない。 別離がもたらすのは
あぁ。 何も見えない。 何を勘違いしていたのだろう。 ひとり。 どうしようもなく。 どうしてだろうか。 一人だ。 独りだ。 言葉も声も。 文章も音も。 見えない聞こえない分からない。 カノンの諦観
ただ、貴方は自分が好きなのでしょう。 ただ、代償なのでしょう。 抱けない自分の身代わりですか。 そうであるのなら。 そうでないのなら。 ――どちらにしても同じこと。 カノン[海界・冥界の設定]
こわくて。 ただ、生きるのがこわくて。 泣き言は言えない。 そんな資格はないし、義務だとしても放棄しよう。 でも、こわくて。 まだ、こわくて。 痛いのも、苦しいのも、耐えられたのに。 あたたかな温もりはこわくて。 いつか消えるのだとずっと怯える自分がいやで。 かなしくて。 さびしくて。 どこへも行けないのを知っているから。 閉じられた檻のような「生」というものがこわくて。 ふるえることすら忘れた、閉じた世界。 いつか怖がらずに生きられますか? もう手には入らない
歪んで歪で傷んでる。 異端で悼んで。 哀しい顔。 終わりの言葉。 それがさよならだったなんて。 これで最後だなんて。 歪んで捻じれた痛みすら……。 水音を聞きながら思う
世界はどうしようもない。 どうしようもないところに着ている。 終着。終焉。果て無き刹那の終局劇。 元から始まっていなかったんだと嘯けばいくらかはマシ。 そんな結末。 とんだ決着。 ずっとずっと欲しかったんだから
焦がれる こがれる 焦がれ続ける だって、欲しかったのだから やっと、ふりだしに戻った
行かないで。 逝かないで。 ずっと、ここで。 ずっと、ここに。 傍に居て。 一緒に居て。 望んだそれはひと時叶い。 願ったそれは永久の夢に。 けれど、いつかは巡り行き。始めの場所に帰ってくる。 約束はなされていた。神の定めた未来として。 抱きしめる未来。 恐怖ではなく待望でもって祝福される幸福。 冷ややかな空ろな虚構な世界を塗り替える。 もうずっと昔の束の間の幻想が現実のものとなる。 幼いころ
やさしい声で。 やさしい唄を君が歌うから。 世界はとてもやさしいものに思えてしまう。 この世が君のようにやさしいなら辛いことなんて一つもない。 きっと、ない。 カノン
存在の軽視は辛い。 とても耐えられるものじゃない。 サガorカノン
貴方が願うのなら。 どんな望みでも叶えましょう。 たとえ最も欲するものを捨てることになろうとも。 女神の聖闘士なのだから。 それは愛ということ
この愛おしさが君にはわかるだろうか。 これほどの想いが君にわかるだろうか。 たった一つのシンプルな気持ち。 |