もう充分
それは取りとめのない日常の1ページ。 日溜まりの幻想。 欲しかったもの。 「そんなものでいいのか」と苦笑い。 暗い、沈んだ瞳。 遠い目。 木漏れ日の夢。 ふとした瞬間、訪れた褪せることない幸福感。 カノン[海界・冥界の設定]
愚かだとしても、必要でした。 貴方にはわからないかもしれない。 愚直な思考。 壊れていた。 縋ることすら出来なかった。 支えもなく。 誰も居ない。 虚無の海を泳ぐ心地。 一筋流れた涙に心は窒息した。 バイバイおかえり
ぱん パン ばん 弾ける音 砕ける音 終わりの音 ぱん パン ばん これで それで どれで ぱん パン ばん さようなら ただいま だから、この手に返してください。
叶うのなら、あの子とずっと一緒に居たいのです。 他は何も求めません。 ……そう言えば満足ですか。 あの子が本当に欲しかったのです。 他を求めたりしません。 ……そう言えば信じますか。 アイオロス
君の名前を教えてくれる? きっと宝物にするから。 君の言葉を話してくれる? 絶対に覚えていくから。 君の存在に触れさせて? 傷つけないと誓うから。 だから、そんなに怯えないで。 手に入らないと知っていたから、尚のこと
世界が欲しかった。 君と居る世界が欲しかった。 君と居られる世界が欲しかった。 きっと初めはそんなところ。 いつからか忘れてしまって。 いつからか手段だったものが目的に変わった。 世界が欲しかった。 手に入った世界はあの日、望んだものではなかった。 君と居られる世界が欲しかったのに、手に入った世界に君は居ない。 気がつくのが遅すぎて、後悔はくだらない。 ただ、君の居る世界が欲しかった。 それが真実だとしても
君のことが大切すぎて、他に何も見えないんだ。 術はソレしか持たないの
愛して欲しくて縋りつく。 遠くへ行くと知りながら。 思いはそれでも終われない。 哀れな。 本当に憐れな子羊。 [海界設定]
今もあの子は夢の中にいるのです。 かわいそうだと思いますか。 哀れに思いますか。 そうでないのなら手を差し伸べてあげて下さい。 同情とは無縁に生きて、 憎しみは近すぎる親愛で、 憎悪こそが唯一の温もりだったのです。 今もあの子は夢の中にいます。 わかるでしょう。 現実が痛いということを知らずに生きていたのです。 痛みが当たり前すぎて心が疲弊したのです。 簡単なことにすら気がつかない日々だったのです。 消費した日々が戻らなくともこれから現在を生きねばなりません。 夢から覚めて。 向かい合うのです。 けれども、今はまだ夢の中にいるのです。 いつしか、何一つ感じれなくなる
もう、そんなことにも慣れすぎて。 今更どうとも思わない。 隠れること。 秘密。 秘匿。 行使されるは女神の命。 目を閉じて耳を塞いで口を閉ざしたところで。 何も変わりはしないから。 息をするように空気にとけて。 それが自然であるのなら苦ではなくなるのだから。 限界は早々と訪れる。
その内、死んでしまう。 それとも殺されるのだろうか。 繰り返される悲劇の喜劇
言葉は端から腐れ落ちていって。 届く前に壊れてる。 崩れ続けるのは二人の精神。 波紋が次第に大きくなり、全てを壊してしまう。 けれども、時間が経たねば水面の異常は誰も知るところではない。 思いは端から捻れてて触れることすら叶わない。 祈る前に忘れてる。 笑えないのは傍観者。 最高の悲劇の喜劇を見せ付けられるのだから。 溜まる澱に気付きながらも、日々を過ごすしかなくて。 悲しいなんて当人達を差し置いて言えるはずがないから。 黒
言ってしまえば、弟もまた同じだった。 人格が二つなのではなく、役割が二つ。 一つの人格に二つの役割。 一つの役目に二つの人格の私とは逆に。 どちらも本当で。 どちらも真実で。 途方もない圧力を一人その身に与えられた。 捨てることなんてできないのに。 選ばせるという名目で捨てさせた。 歪むのを構わず、押し付け押し潰した。 同じものだと思っていたから。 弟と自分が別の存在だとアレは気付けずにいた。 海に消えるその日まで。 自分だけが辛いだなんて、どうして思えた? 誰に祈りを捧げればいい?
失われたものは戻りはしない。 けれど、願わずにはいられない。 友を弟を神を。 どうか、どうか、お願いですから返して下さい。 単調な日常の一幕で
なぜか不意に、彼はとても泣きそうな顔をした。 |