解りきった、結末としての今
歩む世界が違うなら、 生きる世界も違うだろう。 選んだ神が違うなら、 信じるものも違うだろう。 それでも、隣に居たいと思うのなら。 ……それは、どれだけの想いだろう。 目を閉ざすということではなく
悲しみは苦しみではなく。 痛みはただ切ないだけ。 望めない日常に。 辿り着けない日々に。 焦がれることも忘れた。 笑いながも雲は涙を流すのだ。
雨は全てを隠すけれど、 同時に全てを流してしまう。 憂いも喜びも。 等しく流して隠してしまう。 全てを雫のせいにして何もなかったんだと言えてしまう。 それはとても怖いこと。 けれども、それが命綱。 雲は全てを隠すけれど、 同時に心も覆ってしまう。 悲しみを捨てて、どこまで行けるというのかと嘲笑うように。 苦しみを失っては、歩いてはいけないと。 このネジくれた心のような雨雲は何を与えてくれる? この歪んでしまった精神は何処へと帰るのか。 答えなくてもいいけど……
ひとりが嫌だと言ったなら、 果たして、一緒に居てくれた? ふたりが苦痛だと言ったなら、 忘れてくれるのか? 何も望まないと言ったなら、 何をくれる? そのことば[海界設定]アイオロスと
――死ねばいいのに。 その言葉はどっちの言葉? ――お前が決めればいい。 そんなこと出来るはずがない。 ――全部あげる。もう、いらないんだ。 それだけは確実に君だった。 解り合えない視点での話
開きすぎたチューリップは、 さっきまでと同じものなのに、 もう違ったものに感じてしまう。 次第に花びらが干からびるのだろう。 その前に、散らすように手折ろうか。 歩みを止めるわけにはいかない
広い世界に一人、放り出された子供のようで。 解らなかったわけではなく、 どうしたらいいのか、答えが出せなかった。 どうしようもなくて考えた。 正しくなくてもいい。 間違っていても、信じていればなんとかなる。 前向き思考に楽天家でいい。 後悔も反省も後でしよう。 とりあえずは、生きてみよう。 歩みを否定したいわけではなくて
生きていれば生きていくだけ、 知らない名前が増えていく。 聞かされる言葉も増えていく。 知らないことを覚えていき。 一日ずつ生まれ変わる。 昨日の自分は今日の自分には敵わない。 明日の自分は今日よりも進んでいる。 それは、生きているということ。 これが、生きているということ。 増えていった知識と覚えてきた名前を抱いて歩く。 自分を抱えて進んでいく。 世界の輝きを知っている?
君がそばに居てくれるのなら、 それだけで良いと思えるほどに満たされて。 君が一緒ならば、それだけで良かった。 カノンとアイオロス[海界設定]
――まるで、残骸の中で生きているよう。 その言葉を覚えている。 そういった顔も瞳に焼きついている。 その後の出来事も心に刻まれている。 彼が残骸といったのは、それほどまでにここが壊れてしまったから。 生きているといったのは、まだ鼓動が止まっていないから。 別に、もういらないのに、とあの時、確かに言っていた。 ここはモノクロ
君が居るだけで世界は輝くんだ。 家庭の話
ある双子がおりました。 ずっと二人だと言いました。 それはあまりにも心許ない約束でした。 今にも破れてしまう約束でした。 悲しいほど脆い約束でした。 ある双子は双子だけで生きていました。 それは嘘で、途方もないほどに真実でした。 ある双子だけの世界の話。 すぐに終わってしまう御伽話。 描かれた部分が数ページしか存在しない白紙の絵本。 ある家庭で読まれた仮定の話。 自分で選んだんだと思えばまだ耐えられる。[カノン]
存在できない、痛みなんて知らないだろう。 けれど、それでいい。 それがいい。 お前は何も知らずに生きていればいい。 勝手に痛いふりをしていればいい。 嘆いて潔癖に進めばいいさ。 自分を殺すのはいつだって自分。 この位置はオレが自分で選んだ、最初で最後。 隠れて生きて、死なないのならそれでいい。 |